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主に本の紹介、読書感想文、時には漫画、映画などエンタメ全般について綴る

ほかならぬ人へ 白石一文

白石一文
ISBN9784396338107
祥伝社

 普段あまり読まないので、たまには恋愛小説でもと思って読んでみました。恋愛小説というよりは主人公の結婚、離婚を淡々と綴っていて、恋愛小説的な(濡れ場的な)描写はありません。読みやすいです。感動で涙が...とかでなくじっくり深く考えさせる話なのかなと思いました。

 主人公の明夫は名家の三男で、二人の兄は優秀だが自分は記憶力が悪く、生まれ損なったと思っている。キャバクラで知り合った見栄えの良い女性と結婚するのだが、その女性にはどうしても忘れられない幼馴染みがいて、結局は離婚する。明夫は会社の上司(女性)である「東海さん」をバツイチ不細工だが尊敬していて、また一緒にいると居心地も良く、結婚生活が上手くいかないことなどを相談する。最終的に明夫は東海さんをほかならぬ人だと気付くのだが...といった内容です。

 明夫は幼馴染みが自分の兄(次男)に恋をしていて、でもそれを受け容れてもらえない時、兄が長兄の妻に恋をしていることから、お互いにそれはベストの相手ではなく、ベストの相手が見つかった時は、この人に間違いないっていう明らかな証拠があるんだと、普段考えてもいなかったことを語ります。

 明夫は自分では証拠と気付かなかったのですが(最後に気付く)、東海さんと一緒にいて心地よいと思う理由、それ自体が明夫にとって東海さんがほかならぬ人だという証拠になっています。

 人は皆、ベストの相手がいるんだけれど、皆間違った相手と結婚している。ベストの相手と人生最後の日にでも出会えたらそれは幸せ、宝探しだ。そういうことが言いたいんだと思います。Don't think, feel.ってことですね。

 私は二度結婚して、二回とも離婚しています。最初はこの人が一番だと感じていても、年月が経過するうちに何か違う、間違ったと感じてしまう人は多いと思います。みんなある程度妥協して結婚生活を続けているのでしょう。本当に好きな相手、そんな相手が見つかるのも難しいのですが、更にその人が自分のことを好きになってくれる、これはやはり難しいことで、歌の歌詞にもよくありますが、奇跡と言えると思います。そんな相手に出会えた人は幸せですね。歳をとるとなかなか人を好きになることもなく、好きな相手がいる、それだけでも幸せなことだと思います。

 

ほかならぬ人へ (祥伝社文庫)

ほかならぬ人へ (祥伝社文庫)

 

 
 またこの物語は「かけがえのない人へ」という話と対になっています。

  こちらは女性目線で書かれていますが、いきなり二股をかけている女性「みはる」の話なので、最初、感情移入はしにくいです。

 かいつまんで言うと、社内のエリート「聖司」と婚約しているにも係わらず、見た目風采の上がらないかつて不倫関係にあった男「黒木」と関係が復活してしまい、縒りを戻した理由はみはるにも分からないが、ただ夜も黒木との方がしっくり来るし、という話です。こちらはSMチックな描写もあります。

 結婚する女に別に男がいるのに気付けない男なんてどうでもいいわ、と思わず口をついて出てしまうあたり、結局みはるにとって聖司はかけがえのない人ではなく、肌が合う黒木がかけがえのない人だと気付くのですが...

 「ほかならぬ人へ」も「かけがえのない人へ」も男女の視点の差はあるものの、世間的には理想とされる相手と付き合っているにも係わらず何故か上手くいかない。ベストの相手は別に意外と近くにいて、それに気付いた時には既に遅く、その人はいなくなってしまう。という内容です。

 自分にとってベストの相手とはどういう人でしょうか。どうやって探せばよいのでしょうか。打算や世間体や見てくれで一緒にいても幸せは訪れない、自分の心に、本能に素直になって相手を選べば間違わない、ということを語っているのだと思いました。

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