楽園のカンヴァス 原田マハ
原田マハ
ISBN9784103317517
新潮社
美術などに全く造形が深くない自分が読んでも楽しめました。とても素敵なお話です。
伝説のコレクター、バイラーから、ルソーの作品の真贋を確かめるために世界でもトップのルソー研究者二人が集められた。二人に提示された真贋を判定する方法とは不可解なもので、バイラーが提示した七章からなる物語を一日一章ずつ読むことだった。この謎の物語と、研究者二人の七日間が繰り返されながら話は進んでいく。
研究者の二人は男女で、この小説は真贋の判定から年月がたったある日から始まるが、主人公の現状が語られる所から、あるきっかけで真贋判定対決の過去に話がワープして行く。バトラーが提示する物語は謎だらけだが、最後に素敵なオチが待っています。
美術の知識の有無には全く関係なく読めますね。ルソーに詳しければもっと素晴らしく感じるのかもしれませんが、二人の対決というか、ルソーに対する深い愛情を持つ二人のシンパシーというか、そういうものが前編を通してこの作品の雰囲気をぐっと上質なものにしていると思います。バトラーが提示する七章の物語も、早く次を読みたくなりどんどんページを進めていってしまいます。
絵画を見ても特にこれと言って感じないけど、フランスに行ったらルーブルとか行っちゃうんだろうなと思いますし、美術の知識があれば良いなあと思った読後感でした。