天使の囀り 貴志祐介
自分としては超お勧めです。
主人公は終末医療に従事している女性だが、薬害エイズによって死期が近い少年に心を痛めている。
最初は恋人からのメールで始まる。この恋人はアマゾンの探検隊と行動を共にしており、探検隊は大学教授らで構成され、動植物などを研究している。ある日道に迷って食料がなくなり野営するが、現地の部族からはそこが呪われた地だと追放される羽目になる。アマゾンから戻ってきた主人公の恋人は、まるで人が変わったようになり自殺してしまう。アマゾンで何があったのか、主人公は原因は何かと調べるうちに事実を知るのだが。
- 作者: 貴志祐介,酒井和男
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2000/12/08
- メディア: 文庫
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少々気持ちが悪い描写もありますが、そのぞわぞわ感も楽しめる程ストーリーが秀逸なのだと思います。
結局、多少ネタバレすると、
あるものが原因でその人が恐れているものが逆になるような心理になるのですが、最後にあるものの効果を死期が近い少年に試すことで救われると言うか、そこが一服の清涼剤的な話でしょうね。既読でないと何を言っているか分からないと思いますが、物事には裏表があり、例えば科学技術など便利になるのと反面、環境破壊など様々な悪い面ももたらします。また薬にしてもある症状には効いても別の症状には毒かもしれません。
果たして悪いとされているものは本当に悪いのか、使い方によっては善になるのではないか、というような事を深く考えさせてくれる作品だと思います。
貴志さんを「悪の教典」から読んでしまった人には、是非クリムゾンの迷宮や天使の囀りを読んでいただきたいと思います。個人的にですが段違いに面白いです。