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主に本の紹介、読書感想文、時には漫画、映画などエンタメ全般について綴る

脱社畜の働き方 日野瑛太郎

日野瑛太郎
ISBN9784774159768
技術評論社

 日本の職場には理不尽な事がよくあるが、ほとんどの人が頑張って働いている。サービス残業でプライベートを削ったり、大して給料が上がるわけでもないのに言われるままに会社に尽くしたりしている。有給休暇を取る事もままならない。

 働く事は尊い、働く事で成長するといった従来の価値観は高度成長期なら通用したかもしれないが、右肩上がり、大企業に入れば安泰といった構造が崩れた今、働き方や仕事に対する考え方を見直してみてもいいのではないか。

 

脱社畜の働き方~会社に人生を支配されない34の思考法

脱社畜の働き方~会社に人生を支配されない34の思考法

 

 

 著者は院生時代に起業をし失敗した経験を持つ。その後企業に就職したため経営者側と雇われる側の両方の視点を持つが、日本の職場に少なからずある理不尽な事に違和感を感じ、仕事観について考えるようになった。


  何故サービス残業はなくならないのか、定時で帰りにくい空気がある事、有給休暇をとってはいけない雰囲気がある事、また社会人だからこうしなくてはいけな い、成長するために仕事を頑張らなければいけないなど、経営者側に都合よく使われているだけではないのか等、多分年齢がいった高度成長期にバリバリ働いていた人には受け入れられないような考えが書かれている。一流企業と言われる会社でも安心して定年まで働けるかどうか分からなくなった現在、若い人達は就職すれば明るい未来が待っているなんて無条件に信じる事は出来ないだろう。そういう若い人達にはこの本の内容がしっくり来るであろう。

 著者は脱社畜ブログというブログを運営しているが、掲載されている内容だけでなく、著者が起業し失敗し就職するまでの顛末や、プライベートプロジェクトについて書かれている。プライベートプロジェクトとは、初期投資があまり掛からず、自分がオーナーシップを持てる、自分の為にお金を稼ぐプロジェクトでネットと相性がいいが特にそれに限定されるものではない。勿論誰もがこれによって稼げるわけではないが、会社の仕事の比重が相対的に低くなるし、もし給料並みに稼げる様になれたなら社畜から解放される事も可能だ。

 単に仕事をしたくない怠けたいという話ではなく、仕事で理不尽な事は見直そうではないか、また自分がオーナーシップを持っていない仕事は経営者を甘えさせるだけだからそんなに尽くす必要はない、といった従来の仕事観を覆す内容が平易な文章で書かれた良書。