告白 湊かなえ
湊かなえ
ISBN9784575236286
双葉社
かなり前に読んだ本ですが、レビューなどを見るととても賛否両論が多い内容です。久しぶりに読み返してみました。否定的意見も多いという事は、それだけ心を動かす何かがあるという事ではないでしょうか。
イヤミス(嫌な気分になるミステリー)というジャンルで初めて読んだのがこの告白だったと思います。第一章を読んで大きな衝撃を受け呆然とし、夜も遅かったので続きを読まずにベッドに入ったのですが、考えてしまってなかなか眠れませんでした。
物語は、ある事件に関わった人達の手記形式で各章が進んでいきます。その後こういう形式の小説をよく見かけますが、初めて読んだ時点で自分には目新しく、それがこの本を斬新に感じた要因かもしれません。
とにかく第一章が肝で読み始めたら止める事が出来ません。受け持ちの生徒に大きな悲しみを負わされた主人公の女教師の告白になっています。淡々と話は流れていくのですが、それが寧ろ全体に流れる陰鬱な雰囲気を際だたせています。また文章も読みやすいので第一章だけでも読んで欲しい。以降の章は付け足しといっても過言ではない位、自分には第一章が衝撃的でした。
以下多少ネタバレします。
この女教師は、自分の愛娘を事故で亡くします。しかしそれが事故ではなく、受け持ちの生徒が単純に青く無知さ故に自分の娘を死なせてしまったとしたら、教師として親としての葛藤からどれだけ深く悩み後悔し、そして悔しさを感じるでしょう。中学生の起こす事件です。少年法に守られ大した罪にはならない。自分は教師であり生徒に復習したとしても子供は帰ってきません。しかし親として犯人を苦しめたい心境になるのは当然の事でもあります。
書物に教訓的な内容を求めている人は低い評価になるのかもしれません。ただ本を映画や漫画等と同様にエンターテイメントだと考えられる人は高い評価になるでしょう。純粋に話として面白くありませんか? だから本屋大賞一位に選ばれたのだと思います。
湊かなえさんの告白が面白いと受け容れられるなら、以下も面白いかも。私がイヤミスというジャンルにはまってしまい読んだ本を一部紹介しておきます。
沼田まほかる ユリゴコロ、九月が永遠に続けば、彼女がその名を知らない鳥たち
真梨幸子 殺人鬼フジコの衝動、女ともだち