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スモールハウス -3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方- 高村友也

高村友也
ISBN9784495599218
同文館出版

 積ん読本の消化。スモールハウスに絡め資本主義的な過剰な経済活動からの離脱、そのことによって得られる経済的自由、心の自由について書きたかったのだと思います。ある種、哲学書ですね。前書きだけでも、良いことが書いてあります。

 スモールハウスムーブメント、本来お金があれば大きな家を建てたいのだけど、身の丈にあった小さい家で我慢する。それもあるかもしれませんが、この本では家を小さくすることで、建築費、維持費、光熱費、環境への影響の軽減、税負担の節約やメンテナンスの簡略化も含め、大きい家でなくとも良いではないか、小さな家なら土地も少なくて済むし資源の消費も少ない、といった思想から進んでスモールハウスを選択した例が掲載されています。

 前書きにあるように、小型化は日本のお家芸です。自動車や家電はコンパクト化しているのに、なぜ家だけが大きいままなのでしょうか。給料も上がらず人口減少で家の価値も下がっていく現在、無理して皆と同じように大きい家を建て、何十年も苦しんでローンを払い続ける事が賢明だとは思えません。スモールハウスを選択し、ローンの負担が軽減されれば定年まで働き続けるといった従来の人生設計に拘らず、もっと自由な人生が手に入るのではないでしょうか。

 

スモールハウス 3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方 (DO BOOKS)

スモールハウス 3坪で手に入れるシンプルで自由な生き方 (DO BOOKS)

 

 

 この様な事が書かれていて、現在仕事を辞めセミリタイア生活を送っている私には特に共感できます。なおスモールハウスを建築するための実践的なノウハウの本ではないとのことですが、この本を読むと、こういう生活も悪くない、いやむしろこれって単身者には理想的なんじゃないのという気になります。

 また物や所有することについても重要な事が書かれていると思います。スモールハウスで暮らすということは、部屋が一杯だから物を買わないという単純な話ではなく、物を所有する事で物に支配される生活を見直すこと、即ち資本主義的な消費活動からの脱却であり、安定していて物を溜め込む必要がなくなった先進諸国では、そのような考え方をする人が増えてきたということです。

 もちろんスモールハウスだから生活水準が低いというわけではありません。自分にとって不必要な物、過剰な物を収拾選択して排除すればいいのです。下水道の不要なコンポストトイレでもいいですが、望めばシャワートイレを設置してもいい。ソーラーパネルで電気を起こしてもいいし、電気を引いてエアコンなど電化製品をバリバリ使ってもいい。スモールだからこそ、望む所に重点的にお金を使うことが出来ます。

 家が小さければ使う分量が少ないので、むしろ自分の好きな材料を使ったり出来るし、設計も気に入るようにすればいい。場所さえ確保できれば、普通サイズの家を建てるより随分と少ない金額で理想の住まいが手に入るのだなと教わりました。

 なにか北の国から富良野の家を思い出しました。自分もスモールハウスにすれば良かったと、今更ながらに後悔しますね。

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