本棚って壁紙だ!

主に本の紹介、読書感想文、時には漫画、映画などエンタメ全般について綴る

BANANA FISH 吉田秋生

吉田秋生
ISBN4091911617
小学館

 大分昔の少女漫画なのですが、ニューヨークはダウンタウンのストリートキッズを束ねる主人公アッシュとイタリアマフィア、チャイニーズマフィア等との戦いを描く硬派な作品です。謎のBANANA FISHという言葉を追って行くうちに徐々に巨大な陰謀が見えてきて、好まざる戦いに巻き込まれていくといったストーリーです。そして主人公と友情を育む日本人の少年英二との物語でもあります。

 私は男性ですが、特に違和感なく読めました。とにかくアッシュが凄い。少年なのですがIQ200の頭脳を持ち、しかもまれに見る美少年、拳銃の腕も完璧で素晴らしい身体能力を持っています。皆が羨むような能力があるのですが当のアッシュはそれを疎み、まるで自身を粗末に扱っているようです。

 

 

 アッシュは子供時代に男性から性的に蹂躙され男娼として過ごした経験があり、決して隙を見せず、誰かに心を開くことはありません。英二は取り立てて特徴のない少年(青年)なのですが、英二と出会ったアッシュは何故か彼にだけ心を許せる様になります。

 ゲイやボーイズラブ的な内容もあるので多少抵抗があるのですが、それがアッシュという人物を構成している要素なので語らないわけにはいかないのでしょう。アッシュがその美貌で警備員(男)をたらし込むような場面さえあります。

 とにかくアッシュは自分を省みず英二を守ろうとする、英二も何も出来ないくせにアッシュを助けようとする。戦闘で人が死んだりすることが多いこの漫画ですが、二人の深い絆が物語の縦軸として貫いているので単なるドンパチにはなっておらず、寧ろ人と人との関わりが物語の主題であると言えそうです。

 やがてBANANA FISHの正体が判明し、最終的にはアメリカ政府まで巻き込むような展開になっていくのですが、アッシュだけでなく、彼を取り巻く敵が個性的で魅力的ですね。例えばハリウッド映画(もしくはドラマの24)の様で、はらはらどきどきさせる作品です。

 難を言えば、外国映画もそういう時があるのですが、外国人の顔というか絵で人物が区別できない場合があります。自分だけかもしれませんが、これ誰だっけという感じになる時がありますね。それと主人公があまりにも超人すぎるかもしれません。頭の良さに加え、重い怪我をしているのに平気で白兵戦が出来るとか。

 またBANANA FISHの謎が解けてからの後半ですが戦闘の比重が高すぎる気もします。謎解きサスペンスからアクションへ切り替わっていく感じ。でもラストシーンはネタバレになるので言えませんが、切ないですよ。

 

BANANA FISH バナナフィッシュ 全巻セット (小学館文庫)

BANANA FISH バナナフィッシュ 全巻セット (小学館文庫)

 

 

 その辺りを差し置いてもストーリーは興味深く、男性でも読んでみて損はない少女漫画の枠を越えた作品だと言えるでしょう。

 

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