感じる科学 さくら剛
さくら剛
ISBN9784861139642
サンクチュアリ出版
著者のさくら剛という人は天才ではないでしょうか。よくもここまでくだらなくしょうもない(褒め言葉)、しかも的確で分かりやすい例えを思いつくものです。
この本は科学の様々な項目についてのエッセンスを、非常にしょうもなく脱力的に面白い解説を用いて書かれた本で、科学について興味はあるが知識はない人には最適の「入門書の入門書」という位置づけのものです。(ただ結構悪のりしているので、あまりに頭の固い真面目な向きにはお薦めしません)
書かれている目次の項目としては次のようになっています。
光
特殊相対性理論
万有引力
一般相対性理論
量子論
タイムマシン
発明
宇宙
進化論
一部内容とどんな例で書かれているか紹介してみます。
「量子論」
量子論についてはまだよく分かっていない事が多いようです。素粒子の性質としてAという性質とBという性質を持つとします。実際にはAとBの間に中間点があるはずですが、観測者には常にどちらか一方の状態しか見せないとのことです。
これを女子高生の着替えに例え、セーラー服の状態と体操着の状態、我々はどちらか一方しか見る事が許されません。着替える途中の状態もあるはずですが、観測者にはセーラー服と体操着どちらかの状態しか見えないのですと悪のりして例えています。上手く説明できないのですが、絶妙な例えで読んでいてクスッとさせます。
「進化論」
進化論に書かれている内容をかいつまんで紹介してみます。
進化というのは個性です。キリンは頑張って首を伸ばしていたからそう進化したわけではなく、たまたま首が長めの個体が地面などに草が少ない時に生き残り、それがたまたま繰り返されて今の状態になっているという事です。
進化の原因には、「共進化」と「姓選択」という理由もあります。
共進化は、「サメハダイモリ」と「ガーターヘビ」の様な関係で、イモリが自分のもつ毒性を強くしていく毎にヘビもそれに対する耐性が強まっていくという進化になります。分かりやすく例えるなら悟空とベジータだということです。片方が強くなるともう一方もそれに対抗して強くなるのです。
姓選択は単純にいうとモテる形に進化する、という事ですね。孔雀の雄は羽が派手な方がモテるのでそうなっていきました。ここからが悪のり部分なのですが、ではなぜ人間がイケメンばかりにならないかというと...大きな声では言えませんが(とフォントを小さくして)一夫一婦制の弊害かもしれませんと述べています。一夫一婦制で誰でも子孫を残せるとしたら、自然の選択による進化が働かないです。一夫多妻制にすれば生物としては自然な形で進化していくのにね。と冗談とも本気ともいえる事を書いています。
また生きた化石として、三億年前からほとんど進化していないゴキを例えに出し、ほとんど進化していないという事は、それ自体が既に完成型だという事で、ああ、なぜ奴らが恐竜が絶滅した隕石衝突も乗り越え生き延びてしまったんだろうと嘆いています。
他も面白いです。全編に渡ってにやっとできる分かりやすい例えで、科学への抵抗感を拭い去ろうと試みているようです。
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