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採用基準 伊賀泰代

伊賀泰代
ISBN9784478023419
ダイアモンド社

著者がマッキンゼーで採用担当として働いた中で身につけた思考法や、マッキンゼーの引いては欧米の一流と言われるコンサルタント会社での経験や働く事について書かれた良書。

特にリーダーシップについては、日本人の考え方の誤解を解くようにページを割いて書かれている。管理職=リーダーではなく、リーダーは調整役でもない。ここが混同されているため日本の組織は責任不在で決定も出来ず誰も責任をとらないという自体がしばしば発生するのだろう。

リーダーの資質としては、
・目標を掲げる
・先頭を走る
・決める
・伝える
ことを挙げている。

職場の人間も多様化してきているので、従来のなあなあで言わなくても分かるだろということではいけない。モチベーションを継続させるためにも多少大きな目標を掲げる事が必要である。目標に従う人がリーダーではなく掲げる人がリーダーである。

またリーダーとは先陣を切って物事にあたらなければならない。後ろから見守って責任をとるよというスタンスではなく、先頭を切って未知の領域を進んでいくことが要求される。何事も最初に行うパイオニアは大変だ。二人目からは先陣を切った人の後をなぞっていけばいいため先頭を走るという事は大変な事なのだ。

決めるということも重要である。全ての情報が揃わないからといつまでも決定を先延ばしにするのは日本の悪しき体質だ。情報も時間も足りない時点でこちらに舵を切るぞと決定できる力が求められている。米企業の経営者の「A bad decision is better than no decision.(間違った決断は、何も決断しない事よりはベターだ。)」という言葉が記憶に残った。

また決断した事は言葉で伝えなくてはいけない。同じ日本人でも考え方は多用だ。マッキンゼーでは「全く同じ人間が二人いるなら、どちらか一方は不要だ」と言われるらしい。そんな多用な人間の中で考え方や感じ方も千差万別であり伝える事はとても重要なのだ。

 

採用基準

採用基準

 

 


長年会社という組織で働いていれば、ある一定数の人は、体系的に言葉でまとめていなくても上記の様な事は感じているかもしれない。そういう人は日本の組織に風通しの悪さ、居心地の悪さを感じるだろう。

更にリーダーは目標を達成するために、多少なりとも周囲と軋轢を起こさねばならない場合が出てくる。妥協して目標値を下げるのは調整役だ。日本にリーダーシップをとる人材が少ないのは、リーダーの役割が理解されず評価されないからだ。わざわざ回りに煙たがれながら成果を上げても評価されないなら誰もリーダーシップは取りたがらないだろう。

日本で日本式の会社で働かなければならない一般的な頭脳の我々は、こういう一流と言われる所で働く人達の思考方法を知ってしまうと羨ましくもあり恐ろしくもなる。優秀な若い人がこういう本の様な考え方を身につければ、いわゆる日本式で事なかれ主義の企業で働く事は窮屈を感じてしまうであろうし、このまま日本で働いていたら自分は遅れてしまうという焦燥感にも駆られそうだ。

これから社会に出る若い人にお勧めする本である。

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